ブログ 伊藤邸1
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鎌倉には洋風な建築物が多い・・・別に洋館に限らないが、市は別荘地時代の鎌倉を彷彿とさせる建物や商店などを
景観重要建築物に指定して、古き良き時代の鎌倉の景観を保存する為に援助などをおこなっています・・・既に取り壊されて指定解除になった物もありますが、鎌倉文学館をはじめ多くがロマンを感じさせる物となっております・・・

目を引き付ける物件でありますし、指定されている旨を知らせるかっちょいいプレートが取り付けられていますので、鎌倉を歩いていれば大抵の物は自然と見つかると思います・・・

指定された建造物のリストは鎌倉市ホームページ(TOP以外リンク不可だったので景観重要建築物等でサイト内検索して下さい)に写真と説明付きで掲載されていますので興味のある方はどうぞ・・・
プレートに書かれている物より多少詳しく説明されています・・・

この景観重要建築物・・・個人邸などもあるので所在を公表していない物件もあります・・・でも自分は普通に巡っている内に全て写真に収める事が出来ました・・・唯一この伊藤邸を除いて・・・
まぁその内に遭遇する事だろう・・・と思っていましたが全くその気配がない・・・もう鎌倉市内で歩いてない道はないし、指定された住宅建築な訳だし視界に入れば気になってそれと気付くはず・・・

最後の一件だし自分の足で見つけたい・・・と思っていましたが、らちが明かないので仕方なくインターネットに頼る事にしました・・・しかしこの伊藤邸・・・ネットにもほとんど情報がありません・・・

さんざん調べましたが、どのサイトも鎌倉市ホームページにリンクされる物ばかりで、写真もこの伊藤邸に関しては鎌倉市ホームページに掲載されている物以外は見かけません・・・あるサイトでは幻の洋館とまで揶揄されていました(笑)

ネット情報で新たに分かった事は大町にあるらしいという事だけ・・・市ホームページの説明は、

伊藤邸(旧望洋楼) 第2号平成2年12月1日指定
この建物は、明治36年頃、貿易商石川賢治氏の別邸として建てられ、昭和12年、伊藤成明氏の所有となりました。玄関にイオニア式柱頭を持つ円柱と、八角塔屋根に特徴を持つ、和洋折衷の別荘住宅で、創建当初の姿を残した、現存する市内最古の洋風住宅の遺構として大変貴重です。

※公開はしていません
構造規模:木造平屋建、和小屋組・延べ床面積/161.1平方メートル・屋根/寄棟・外壁/南京下見板張り

大町にあるらしい・・・と分かっただけでもかなり範囲が限定されました!ふぅ~・・・
取り敢えず大町全域を管轄している鎌倉警察署名越交番へ聞き込み・・・巡回パトロールしている人なら把握しているかもしれない・・・

まず怪しい者ではなくただの鎌倉マニアである旨を告げ、伊藤邸はこれこれこーゆー物で一般公開はされてないけど、外観だけでも拝見したいんですが・・・とリストのコピーを見せて聞いてみたが、知らないとの事・・・
親切にもネットで調べてくれようとされましたが、それはさんざん自分が試みた事・・・欲しい情報が出て来るとは思えない・・・でもホントに親切な方でした、あーゆーポリスメンが増えて欲しいです・・・

いきなり出鼻をくじかれたのと自分の都合もあり、その後2年程積極的な捜索を休止していました・・・
そんな折、かまくら景観百選景観重要建築物が一冊にまとまったガイドブックが販売される事に・・・
これを知り、失いかけていた自分の捜索熱が再び燃え上がったのでした(笑) 
伊藤邸2 取り敢えずガイドブックを入手する為に、販売所の一つである鎌倉風致保存会事務局がある旧安保小児科医院へGO!・・・しかし¥500という価格設定も功を奏し、あっという間に売り切れてしまったとの事・・・
またまた出鼻をくじかれた・・・

ちなみに旧安保小児科医院も景観重要建築物の指定を受けています!
伊藤邸の事を話したら、事務のおばちゃんが 
『資料として一冊残してあるから見せてあげる、所在地も付属の地図に示されてるから・・・』

との事・・・ついに追い求めた幻の伊藤邸のベールが!事務のおばちゃんが聖母マリアに見えます!
おばちゃんと地図を眺める・・・当然伊藤邸は紹介されているが・・・地図に所在地は載ってない・・・

『あら、載ってないわねぇ・・・なんでだろう?』と、おばちゃんが呟く・・・

あんたさっき載ってるって言ってましたやん!なんやねん!この糞ババア!
とも思いましたが、親切にガイドブックを見せて一緒に探してくれた間違いなくいい人です・・・
マリア様からは降格ですが(笑)
お礼を言い風致保存会を後にしました・・・また振り出しに逆戻りです・・・
自転車漕ぎ漕ぎしながら帰り道に決心しました・・・この件に関しては、もう人を信じたり頼ったりするのはやめよう・・・

『信じられぬと 嘆くよりも 人を信じて 傷つく方がいい 求めないで 優しさなんかぁ~♪』
いやいや信じて傷つくのは2回まで、3回目はないな・・・別に傷ついてないけど(笑)・・・てか歌古っ!

さてこうなると自分のリサーチ力だけが頼りですね・・・当初から宅配系業者と近隣住民への聞き込みは自分の中での縛りでNGとしてましたんで、これは無しで行きます・・・もう一度情報の整理をします!

・大町にあるらしい。
・管轄地域のポリスメンも分からない事から考えるに、通りから建物は視認できない、又は見え難い。
・望洋楼という名前から推察するに、建物は海が望める場所にあるのではないか?
・八角塔屋根

これらの事をプロファイリングしながらGoogleマップを開く・・・大体の当たりを付けながら航空写真モードで軽めに見てみよう作戦です!八角塔屋根は目立つんではなかろうか? 
伊藤邸3 探す事1分・・・ん?これは・・・もしかしなくとも、伊藤邸じゃありませんか?ですよね?
この辺りじゃぁないかとは思いましたが、まさか一発目で発見に至るとは・・・逆に拍子抜けしてしまいました!

しかし、ついに・・・ついに辿り着いたぞっ!
見つからない様であれば次の段階として、図書館の住宅地図で大町の伊藤さん宅をしらみ潰しに調べるつもりでしたから・・・メンド臭い作業が省けて良かった・・・
Google様様です!・・・しかしこんな所にあったとは、近くは何度も通ってるハズですが!?
伊藤邸4 取り敢えず現場検証を・・・待ってろ伊藤邸!
到着・・・まぁ・・・当然こうなりますわな・・・
これが幻の洋館たる所以ですね・・・門から建物は全く見えません・・・突き当りを右に曲がって家へと至る設計の様です・・・
自分はこの道をよく使うので今まで何百回と通っていると思いますしこの門も自分にとっては見慣れた風景です・・・

立入禁止の札が2ヶ所設置されていました・・・
興味本位で見に来る輩が侵入するんでしょうか?・・・そんなにいるとも思えませんが・・・
『景観重要建築物?何それ?』って人の方が間違いなく多いと思います・・・ 興味あるし行きたいけど場所が分からないよ~という少数派の方がほとんどではないでしょうか? 
伊藤邸5 通りを少し戻り、建物正面から撮影!
あの木凄い邪魔だなぁ・・・でも見えます、見えてます!
でもこれが限界ですね・・・
全貌を拝むには手前の建物の屋根に登らないと無理そうです・・・よじ登ったら怒られそうだし、ここは素直に諦めましょう・・・

しかし人の注意力ってのはいい加減な物ですね・・・
何度も視界に入ってはいたハズなのに・・・
ちょっと目を引くものがあると周りが見えなくなる・・・ホントいい加減なもんだ・・・

何はともあれ全ての景観重要建築物を写真に収める事が出来ました・・・しかしこの伊藤邸・・・
指定された事を示すプレートがない!・・・個人邸でも入り口等に設置してあるハズなんですが!?
自分はどちらかというと建物よりもプレートの写真を集めていたんです・・・あの銅板のかっちょいいプレートを!(笑)

篠田邸(旧村田邸)、かいひん荘鎌倉は銀色・・・旧安保小児科医院は大き目で黒地に白文字の変わり種・・・
旧華頂宮邸プレートはありませんが入り口のバカデカい案内板に指定された旨が記されてますので、プレートの必要がないのも納得出来ます・・・この他は全部銅板ですがそれぞれに味があります!
伊藤邸だけ良く見えない上にプレートも何も無しかよぉ・・・
こんだけ頑張って最後の最後で消化不良ですよ・・・ホントにもぉ・・・

鎌倉市のホームページの記事です・・・
鎌倉市では、明治から昭和の初めの頃に建てられた洋風建築物が多く残されています。
しかし近年、次第にその姿が消えていくという状況のなかで平成2年に『鎌倉市洋風建築物の保存のための要綱』を定めそれらの保存と活用に努めてきました。

平成8年7月1日には『鎌倉市都市景観条例』が施行されこれまでの洋風建築物に加え和風建築物や門、塀などの工作物を『景観重要建築物等』として保存と活用を図る制度が設けられました。
保存・活用すべき建築物や工作物についての情報などありましたら、下記までお願いします
鎌倉市景観部都市景観課。

保存はいいとして、伊藤邸に関しては活用は全くされていませんね・・・そもそも視界に入っても気付かないなんて景観もクソもないでしょうに・・・単に貴重な建築物でいいんじゃないですかね?

それに指定されたからにはやっぱりその旨を積極的に公表していくべきだと思います・・・じゃないとプレートマニアな自分が困ります(笑)
それに写真と実際に生で見るのとじゃぁ全然イメージが違いますから・・・美しい物は見られてナンボだと思います・・・
プレートがじゃないですよ!美しい住宅建築がですよ・・・プレートもいいけど(笑)
こんだけプレートプレート言ってるのは世界で自分だけでしょうかねぇ・・・

所在が割れるのが嫌なら辞退する事も出来ますし・・・あの超有名な古我邸がそうらしいですから・・・所在が割れるとか、人が寄って来るのが嫌とかではなく、単に大仰な肩書が付くのを好まなかった様です・・・その証に過去に見学ツアーもありましたし、門前で見物していたら家主が敷地内に入れて撮影させてくれたというブログも拝見しました・・・

指定を受けると建物の資産価値とか上がるんでしょうか?
保存を目的にしている以上、鎌倉市が妥当と判断したなら修繕費の補助とかはありそうな気もしますが、以前景観重要建築物に指定されていた鎌倉山の山椒洞が、維持が困難で全壊する運びになり、庭部分をMさんに売却したという話を聞くし、多額の援助みたいな物はなさそうですね・・・
まぁどの物件もお金に困ってそうな人が住んでる様な代物ではありませんが・・・

自分は山椒洞をMさんが全部買い取ってぶっ壊したんだと思ってました・・・芸能人は何て事するんだ!と思っていましたがどうやら違った様です・・・Mさん御免なさい・・・
Mさんは日本中の奥さんと生電話ばっかしてた昼番組の司会者です・・・

先程も言いましたが、今回鎌倉の景観重要建築物をめでたくコンプリートしてみて思ったのは・・・開かれていない個人邸は指定するべきじゃない!見えないのなら無くても同じ・・・敢えて保存してもしょうがない・・・記録として残すだけで十分だと思います・・・ある日突然伊藤邸が消えたとして、何人の人が気が付くんでしょうか?・・・
ひっそりと無くなって行き、古老が昔はあそこに珍しい家があったと語ったり、残された映像や史料を見ながら回顧するのもロマンです・・・

内部を公開しろとはいいませんが、指定を受けたらプレートを設置する!それが嫌なら潔く辞退!
鎌倉市も本当に残したいのであれば最終的には買い上げなければなりません、そしてプレートを設置!
今までプレートの無い個人邸は他にもありましたが、単に気が変わって設置してみたくなったのか、鎌倉市が説得したのか分かりませんが、現在は伊藤邸以外全ての指定建築物に設置されています・・・

伊藤邸も今後設置される様に家主さんの気が変わるのを願うばかりです・・・
何だかんだ言って、結局は自分がプレートの写真を撮りたいだけだったりして!(笑)
建物はもうこの際別に見えなくてもいいです・・・はい・・・ 
伊藤邸6 Googleマップのストリートビューで見てみたら・・・
伊藤邸の門を郵便局員が開けている瞬間でした!
まさに決定的瞬間!思わず笑ってしまいました・・・
堂々と入れるなんて・・・何て羨ましい・・・
まてよ・・・この人の制服を奪えば俺も敷地内に入れるんじゃないか?・・・でもこの人スゲー小っさいなぁ・・・
無理だ・・・奪った所でサイズが合わん・・・
無理やり着たところでスーパーボディコンポストメンになってしまう・・・チャックも閉まんないよ・・・変態過ぎる(笑)
完全に職質モンだな・・・伊藤邸どころか刑務所行きだ!・・・やっぱ無理だな諦めよう・・・
そもそも横領、痴漢など不祥事が目立つ鎌倉郵便局員に間違われるなん耐えられない・・・
民営化っていうけど・・・更に不祥事は隠蔽されて行くんでしょうねぇ・・・中国なら死刑ですよ!死刑!(笑)

自分と同じ様に伊藤邸を探している数少ない方々に、所在を明かしたい所ではありますが、やはり個人邸という事もあり、家主さんもそれを拒んでいる感じなので止めておきます・・・でも3枚目の写真は良く見るとピンポイントで場所を特定出来る要素を含んだ何かが写ってますね・・・そして最後にもうひとつ場所に関してのヒントを

『和菓子は好きですか?・・・ココだけじゃなくて腰越にもありますよ!』

鎌倉好きならすぐにピンと来ると思います・・・

後日、昔の新聞を読んでいたら旧江の島参道沿いの成瀬家住宅が景観重要建築物に指定された時の記事が載っていた・・・指定を受けると修繕、改築費用の半額(上限300万円)を助成金として市から受け取れるそうです・・・
ちなみに現在成瀬家住宅は予約制(4人以上)の料亭としても営業していますよ!・・・【お店HP】

おしまい 
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